- サプリメントの基礎情報から専門情報まで解説
- 研究で報告されている効能
- サプリメントを使用したときの副作用
- 患者さんへの説明方法、他サプリメントの鑑別
目次
ペパーミントの成分解説
ペパーミントとは何か。
ウォーターミントとスペアミントの交配種である植物。
食用で用いられることが多いが、治療目的で使用する場合もある。
ペパーミントにはメントールが多く含まれており、効能のほとんどがメントールとされている。
ペパーミントの薬理作用
メントールはメントールグルクロニドに代謝されれ、約7割が尿中に排泄される。
半減期は1時間前後であるが、症例により幅拾いので信頼性は低い。
またメントールはCaチャネルの阻害作用があるとされている。
相互作用
メントールはCYP2D6とCYP3A4を可逆的に阻害する可能性がある。
MacDougall JM, et al. Inhibition of human liver microsomal (S)-nicotine oxidation by (-)-menthol and analogues. Chem Res Toxicol. (2003)
ペパーミントの効能
研究で報告されている効能をいくつか紹介する。
過敏性腸症候群の腹痛軽減作用
過敏性腸症候群の治療目的の研究は非常に多く存在している。
腹痛の軽減は多くの研究で報告されている。
2019年の過敏性腸症候群患者の無作為化二重盲検試験では、小腸放出型のペパーミントを投与した群とプラセボ群で腹痛減少に有意差があった。
しかし投与2週間後に腹痛症状が再発した研究も報告されている。
また過敏性腸症候群の腹痛軽減は小腸放出型のペパーミントのほうが優れている可能性がある。
機能性ディスペプシアの症状改善?
またMenthacarin(Carmenthin®)を使用した研究では、機能性ディスペプシアの症状改善を報告した研究もある。
Carmenthin®はペパーミントオイルのほかにキャラウェイシードも入っているので、ペパーミント単体で効力を発揮したかは不明。
Carmenthin®…ドイツで発売されているサプリメント。主成分はペパーミントとキャラウェイシード。
ペパーミントの副作用
胸焼け
ペパーミントの筋弛緩作用が下部食道括約筋(LES)を弛緩させることで胸焼けの症状が出る可能性もある。
特に逆流性食道炎の人は症状が増悪しやすいので注意が必要。
リンクDiet and the irritable bowel syndrome
筋弛緩作用は薬理の項目で説明したようにCaチャネルの阻害作用が原因だと思われる。
しかし他の論文では、胃内容排出速度を増加させることで逆流性食道炎の症状を軽減するとの報告もある。
リンクGastroesophageal reflux disease (GERD): a review of conventional and alternative treatments
逆流性食道炎の人は腸溶性コーティングを施されたサプリメントを選ぶのが無難。
日本で腸溶性コーティングがされたサプリメントはほぼないので注意が必要。